離婚の手順・流れ
自分の中での離婚の決断
離婚するかしないかの判断。
子供がいなければ、最終的には二人の間だけでの判断になりますが、子供がいる場合には、子供の事を第一に考えつつ、離婚した方が良いのかどうか、きちんと未来を考える必要があります。
相手への離婚の話の切り出し
離婚したいと話を切り出しましょう。
もしくは、相手が言ってくる場合には、自分がか切出さずに、分かりましたと答えましょう。
離婚はお互いが離婚したいと合意する事が、一番楽な手順になるので。
重要なのは、そこからの取り決めです。
離婚するでお互い同意できたら協議離婚
双方が離婚する事と条件に同意したら協議離婚になります。
その上で、離婚届を提出すれば離婚は成立しますが、財産分与等、取り決めるべき事は先に話をし、同意し、文章化した上で、離婚をしましょう。
離婚するで同意できなければ裁判
離婚調停の申し立てを家庭裁判所に行います。
調停によって離婚に同意したら、調停離婚になります。
調停が不成立なら
・裁判所が審判して異議がなければ審判離婚
・離婚を拒否して訴えられた側が離婚を認めたら許諾離婚
・お互いが同意したら和解離婚
・判決まで行って、勝訴したら判決離婚、敗訴したら離婚できない
という事になります。
離婚後の事前、取り決め
協議離婚にせよ、調停・裁判による離婚にせよ、最終的に以下の事は決め、文章化する必要があります。
親権
どちらが子供と同居し、育てていくのか。
同意できなければ、家庭裁判所で離婚調停する事になります。
どちらが親権を持つかの決定要因は、育てる親が
・健康か
・育てられる収入があるか
・子供の意思はどうか
・子供と過ごす時間をどれだけ持てるか
が影響します。
一般的に母親の方が親権を得やすいですが、無職では不利になるので、何らかの仕事を得た上で裁判にのぞんだ方が良いでしょう。
また、どれ位の頻度で、親権を手放す側が、子供に会えるのかについても決めておきましょう。
養育費
一般的に「養育費算定表」に基づいて決定されます。
年収・子供の年齢・子供の数が影響します。
月2-4万円になる事が多いようです。
慰謝料
浮気・DV・セックスレス等が離婚の原因になった場合の慰謝料。
100-300万円位になる事が多い様です。
現実には使われている訳ではないですが、以下の様な慰謝料計算式もあります。
基本慰謝料120万円+払う側の年収の3%×実質的婚姻年数(最高で20年)×有責度×調整係数
有責度
払う側が極めて悪い場合 = 1
払う側が悪い場合 = 0.9~0.2
お互いほぼ同程度悪い場合 = 0
調整係数
貰う側が配偶者と同程度の年収:0.7
貰う側が就業経験のない方:1.3
3年が時効です。
財産分与
財産分与とは
婚姻中に夫婦が協力して得た財産を生産するのが財産分与。
離婚の原因に関係なく、対象となる財産があれば請求できる。
有効期間は、離婚成立後2年。
分与の内容は
・清算的財産分与
婚姻してから別居する迄の間に貯めた財産を分割
・扶養的財産分与
生活援助的な分与
に分類できる。
財産分与の金額の決定の仕方
財産をリストアップして総額を出し、その半分を分与する。
金融資産は単純に金額を数えれば良いだけですが、
負債はその分その負債対象から差し引く必要がある。
また、自動車等は、買った値段ではなく、時価相当額で計算する。
時価相当額は、今売ったらいくらになるかと言った価格。
ただし、大きな金額のもの以外は、金額の算定に含めず、ただ必要な方に分配するという事もよくある。
分割の割合を決める
基本は1/2
専業主婦の場合3-5割を通常請求する。
結婚前から持っていた資産は対象にはならない。
分割する時の税金
・現金
支払う側にも受け取る側にも、税金はかからないので、結婚した日付を確認する。
・不動産や株
支払う側にも受け取る側にも、税金はかかる。
ただし、結婚20年以上の夫婦の場合、贈与された側が住み続けるのならば、土地・建物については2110万円まで非課税
財産分与の計算例
まず結婚した年月日を特定
2014年10月24日
結婚した年月日の前日での総資産額を確定
2014年10月23日時点
[自分側]
住信SBI銀行普通預金 71,694円
住信SBI銀行ハイブリッド預金 15,200,919円
三井住友銀行1 ?万
三井住友銀行2 ?万
合計15272613円
[相手側]
みずほ銀行 ?
?を除いて2人合計で15272613円
現在の総資産額を確定
[自分側]
住信SBI銀行 11845583円
三井住友銀行1 806,237円
三井住友銀行2 736,459円
SBI証券 8,931,658円
合計 22,319,937円
[相手側]
SMBC信託銀行 1,495,045円
みずほ?円
合計1,495,045円
2人合計で?を除いて23,814,982円
結婚した時と今との差分を確定
二人で8542369円
差分の半額を財産分与額とする
4,271,184円
年金の分割
専業主婦は結婚している間は、年金を払わなくても第3号年金保険者になりますが、その時の配分される金額は夫に比べ少なくなります。
そこを平等に配分して貰う為の手続きが年金の分割になります。
年金の分割の申請は、離婚後2年の間だけ可能です。
・年金手帳
・元夫婦双方の戸籍謄本
を持って専業主婦だった側が年金事務所に行って、第3号年金分割の手続きをします。
協議離婚書の例
上記の様な決定事項を文章化・記録します。
書式は自由。
同じ文章を2通用意し、最後に年月日を入れ、夫婦それぞれが署名押印します。
タイトルは
・離婚協議書
・覚書
・合意書
・念書
のいずれか
記載内容としては
・満20歳未満の子供の親権者・監護者の指名
・子供との面接交渉権
L 頻度
L いつ
L どこで
L どのように
・養育費について
L 支払う側の氏名
L 受け取る側の氏名
L 支払い金額
L 支払い方法
L 支払い期間
財産分与
L 支払う側の氏名
L 受け取る側の氏名
L 対象財産
L 支払い方法
慰謝料
L 支払う側の氏名
L 受け取る側の氏名
L 支払い金額
L 支払い方法
L 支払い期間
公正証書にするには
「この協議書を元にして「執行認諾文言付公正証書」を作成する」
と書いておきましょう。
公証役場に持っていけば公正証書にする事ができます。
なお、執行認諾文言付公正証書にしておけば、裁判の判決と同じ効力があり、金銭絡みだったら、約束が履行されない場合、強制執行されます。
離婚協議書の例
斎藤太郎(以下甲という)と妻斎藤愛子(以下乙という)とは、甲乙間の離婚について以下の通り合意する。 記 第1条 甲と乙は、協議離婚することに合意し、離婚届に各自署名押印して、乙において速やかに届出をする。 第2条 甲は、前2条を内容とする離婚届が受理される事を条件として、 1 乙に対し、本件離婚による財産分与として、金478万円を令和元年11月15日までに、乙の指定する口座に振り込んで支払う。 第3条 年金については3号分割制度を利用する 第4条 甲の名義で現在支払っている乙の携帯代は、乙名義の契約を解約しするものとする。但し、甲は離婚後3ヶ月については、契約・電話番号を維持する。 第5条 当事者双方は、以上を持って甲乙間の離婚に関する紛争を全て解決したものとし、本協議書に定めるほかには、慰謝料・財産分与等の名目の如何を問わず、一切の財産的請求をしない。 第6条 甲と乙は、本日現在、本協議書に定める他相互に何らの債権債務のない事を確認する 第7条 甲は、本証書に基づく金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する事を許諾する。 上記の通り合意したので、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各自1通ずつ所有する。 令和◯年◯月◯日 (甲) 住所 氏名 (乙) 住所 氏名
離婚後の手続き
不動産の名義変更
住民票
– 引っ越し前の市区役所または町村役場: 転出届
– 引っ越し後の市区役所または町村役場: 転入届
世帯主変更届
マイナンバーの変更
– 引っ越し後の市区役所または町村役場: 変更の手続
健康保険
– 引っ越し前の市区役所または町村役場: 国民健康保険の脱退の手続
– 引っ越し後の市区役所または町村役場: 国民健康保険の加入の手続
・離婚届受理証明書
・健康保険証
・健康保険資格喪失証明書
が必要
国民年金
– 引っ越し後の市区役所または町村役場: 加入の手続
・年金手帳
・離婚届受理証明書
が必要
印鑑登録の変更
– 引っ越し後の市区役所または町村役場: 登録の手続
・印鑑カード
・新しい印鑑
が必要
運転免許書の書き換え
– 引越し先の警察署: 手続き
・住民票(本籍記載のもの)
・現在の運転免許証
・写真(他の都道府県から転入の場合)
が必要
金融機関への届出
クレジットカード会社への届出
生命保険会社への届出
電話会社への届出
パスポートの変更
・一般旅券訂正申請書
・離婚後の戸籍謄本
・現在のパスポート
が必要
郵便物の転送
離婚届
離婚届の証人は成人した人なら誰もで良いですが、本人の了承なく証人にすると
・1年以下の懲役
または
・20万円以下の罰金
に処される
頼む人がいない場合には証人代行サービス等を使って、証人になってもらいましょう。
その他
引っ越しの決定・費用負担の決定
家具家電等物品の分配
どこに郵送するのか、廃棄して良いのか
各種手続きのスケジュールを決める
旧姓のまました方が良い手続きを終える
– 銀行カードの再発行